今回は東大院機械工学専攻平成21年材料力学の大問を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
この問題を解くのに必要な知識
・曲げとねじり
・せん断応力とトルクの関係
・曲げモーメントと応力の関係
・モールの応力円
解答本文
序盤は東北大大学院とほぼ同じ設定の問題です。序盤はほとんど同じ解説になります。
(1)A端での反力と反力モーメントを求める問題
下のようなL字型の梁の先端に荷重WがかかるときのA端での反力および反力モーメントを求める問題です。

この問題のめんどくさいところはB点に作用している荷重WによってAB間には曲げだけでなくねじりが発生しているところです。これはBCを右から眺めるとわかりやすいと思います。荷重WによってAB部分にはトルクT=Wlが発生してしまい、これによってねじりが発生するというわけですね。

これを考慮して以下の問題を解いていきましょう。下図のようにA端での反力をR、反力モーメントをMR、反力ねじりモーメントをTRとすると力のつり合いとモーメントのつり合いより




(2)C点のたわみを求める問題
2つの解法を示しておきます。
(解法①)カスチリアノの定理を用いる
まずはカスチリアノの定理を用いる方法で解いていきたいと思います。問題設定としては下図のようなL字型の梁の点Cのたわみを求めよというものです。

さっそく断面に生じる曲げモーメントおよびねじりモーメントを求めていきましょう。そのためにこの梁をAB間(0≦x≦l)とBC間(0≦y≦l)で切断していきます。
まずはAB間(0≦x≦l)で切断します。断面に生じるねじりモーメントをTx、曲げモーメントをMxとすると断面より右側の部分のモーメントのつり合いよりそれぞれ


となります。

次にBC間(0≦y≦l)で切断します。断面に生じるねじりモーメントをTy、曲げモーメントをMyとすると断面より左側の部分のモーメントのつり合いよりそれぞれ


となります。

曲げモーメントとねじりモーメントが求まったのでカスチリアノの定理でたわみを求めていきます。カスチリアノの定理よりC点のたわみδCは梁全体に蓄えられる弾性ひずみエネルギーをUとすると

ここでUはねじりモーメントによる弾性ひずみエネルギーと曲げモーメントによる弾性ひずみエネルギーの合計なのでTy=0を考慮すると

となるので式(5)は

と変形できます(この変形についてはこの記事を参照)。ここで

より式(6)は

となります。あとはこれを計算するだけですね。一応積分計算も省略しないで示しておくと



なので

IとIPにそれぞれ

を代入してやれば求めるたわみδCは

となります。
(解法②)変形を個別に考えていく
まず、この問題における梁の変形は下の3つの要素によって生じます。
(i)AB間の曲げ
(ii)AB間のねじれ
(iii)BC間の曲げ
このそれぞれの要素においてC点がどれだけたわむかを順番に考えていきましょう。
(i)AB間の曲げ
まず、AB間の曲げだけに注目しましょう。この曲げによる点Bのたわみをδ1とするとAB部分は下図のようにたわみます。

また、AB間の曲げだけに注目しているのでBC間は曲げが発生していません。なのでBC間は直線をたもったまま変位し、C点のたわみはB点のたわみに等しくなるのでBC間の変位の様子は下図のようになります。

(i)のみを考えた場合は両方ともたわみがδ1だとわかったところでδ1を求めましょう。
解法①と同様に断面の曲げモーメントを考えるとAB間の曲げに関与してくるのは荷重Wだけとなり、(i)の曲げの状態は長さlの片持ち梁の先端に荷重Wが作用している時の曲げ状態と変わらないことがわかります。
なのでδ1は片持ち梁のたわみの公式(知らない人はこのページで証明も含めて確認しましょう)

より

となります。
(ii)AB間のねじれ
(i)の状況に加えてねじれが加わった時を考えます。荷重WによってAB部分に生じるトルクTはT=Wlなのでこのトルクによる軸ABのねじれ角をΦとすると、公式

よりΦは

さて、Φだけ軸がねじれたときのC点のたわみを考えましょう。軸ABがねじれるだけなのでB点のたわみは変化しないことはすぐわかります。しかし、下図のようにC点は軸ABがねじれるとたわみδ2が発生します。

幾何的な関係からδ2は

となりますが、変形が微小、つまりΦが微小なのでsinΦは

と近似できます。なのでδ2は

となります。
(iii)BC間の曲げ
最後に(i)、(ii)に加えてBC間の曲げが発生したときのたわみを考えます。B点はこれによってたわみませんがC点はこの曲げによって下図のようにδ3だけたわみます。

このδ3を求めるには工夫が必要です。
まず、B点から上図のようにΦだけ傾いたy'軸を導入します(ABの軸線が(ii)のねじりで水平からΦだけ傾いているのでこのような工夫をする必要がある)。この軸を基準としたときのC点のたわみ量をδWとします。ここでBC間を座標値y'(0≦y'≦l)の断面で切断し、曲げモーメントを考慮すると曲げに関与してくるのはC点に作用している荷重Wの梁に垂直な方向の成分WcosΦのみとなり、この曲げの状態は長さlの片持ち梁の先端に荷重WcosΦが作用している時の曲げ状態と変わらないことがわかります。
なのでδWは片持ち梁のたわみの公式

より

となります。ここでδWはy'軸を基準としたたわみなのでyを基準としたたわみ量δ3は幾何的な関係から

となります。ここでΦが微小なので

と近似ができるため、δ3は

となります。
以上よりδCは

となります。あとはIとIPに解法①と同様に

を代入すれば同じ結果が得られます。
解説なので長々と丁寧に書きましたが実際に答案に書く際はここまで丁寧にしなくても
「梁の変形は下の3つの要素によって生じる。
(i)AB間の曲げ
(ii)AB間のねじれ
(iii)BC間の曲げ
(i)によるB点およびC点の時のたわみは等しく、これをδ1とすると

(ii)の場合は軸ABがねじれるだけなのでB点のたわみは変化しない。軸ABのねじれ角は

このねじれによるC点のたわみδ2はΦが微小なので

(iii)の場合もB点のたわみは変化しない。C点のたわみδ3はΦが微小なので

これらを足し合わせて…
」
くらいにざっくり書いておけばいいと思います。Φが微小なのでとかいってわかってるアピしていきましょう。一応片持ち梁の公式もカスチリアノの定理使って計算したふりしておくと安全かな。
(3) 断面E外周最上部におけるせん断応力と最大主応力を求める問題
端部Dから距離aの位置における棒の半径r(a)は
![]()
となります。よって外周最上部におけるせん断応力τxyは

となります。次に最大主応力を求めます。断面Eの外周最上部における応力状態は下図のようになります。

面34において
![]()

面41において
![]()

なのでモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は半時計周りを正としています。

これより最大主応力σmは

(4) 断面H外周最上部における最大主応力を求める問題
問(3)よりトルク
![]()
によって断面Hの外周最上部に生じるせん断応力τHは

断面Hにおける曲げモーメントMHは式(1)により
![]()
となるので、断面Hの最上部に生じる曲げ応力σHは

次に断面Hの外周最上部における応力状態は下図のようになります。

面41において
![]()

面34において


なのでモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は半時計周りを正としています。

以上より最大主応力σmは

と求まります。
(5) 最大主応力が最大となる場所が断面G最上部でなくなる条件を求める問題
最大主応力が断面Gで最大とならないためにはa=0における微分係数が
![]()
となれば良いです。σmをaで微分すると

なのでa=0における微分係数は
![]()
これが0より大きくなる時αは
![]()
と求まります。これが求める条件となります。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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