今回は東大院機械工学専攻2020年材料力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・せん断応力とトルクの関係
・曲げモーメントと応力の関係
・3次元の応力状態
・3次元の主応力
・モールの応力円(3次元)
解答本文
曲げとねじりが作用する組み合わせ応力の問題ですが、曲げモーメントのかかり方が普段見慣れているものとは違ったり、第3主応力まで考えさせたりしんどい問題です。
(1)せん断力Sと軸力Nを求める問題
下図から断面に働くせん断力Sおよび軸力Nはそれぞれ
と求まります。
(2)ねじりモーメントTと曲げモーメントMを求める問題
下図から断面に生じるねじりモーメントTおよび曲げモーメントMはそれぞれ
と求まります。
(3)点hおよび点iにおける応力成分を求める問題
断面に生じるねじりモーメントTおよび曲げモーメントMを図示すると下図のようになります。曲げモーメントMの生じ方がいつも梁などで見慣れているものとは違うので注意しましょう。特に曲げ応力を考える上では重要です。
次に点hに微小な直方体の要素を考え、その直方体における応力成分を図示すると下図のようになります。
これより点hにおける応力成分は
となります。次に点iにも微小な直方体の要素を考え、その直方体における応力成分を図示すると下図のようになります。
これより点iにおける応力成分は曲げモーメントによって引張りの曲げ応力が作用することに注意すると
ただし、ここでせん断応力は正の面では軸の負の方向、負の面では軸の正の方向を向いているため符号が負になることに注意してください。詳しくは問(4)の解説中に貼った主応力の求め方(三次元)という記事を参照してください。あと↓のH27年の材力の解説記事でも軽く触れています。参考にしてください。
(4)点hおよび点iにおける主応力を求める問題
主応力σは
をみたします。この式の導出については下の記事を参考にしてください。
これから
という3次方程式を得ます。ただし、ここでA、B、Cは
です。点hにおいて応力成分は問(3)より
これ以外のA、B、Cの計算に用いる応力成分は0となるので係数A、B、Cはそれぞれ
と求まります。よって主応力σがみたす3次方程式は
となります。以上から3つの主応力は
と求まります。
次に点iについて考えます。問(3)より点iにおいて応力成分は
これ以外のA、B、Cの計算に用いる応力成分は0となるので係数A、B、Cはそれぞれ
と求まります。よって主応力σがみたす3次方程式は
以上から3つの主応力は
と求まります。
(参考)点hおよび点iにおけるモールの応力円
点hにおけるモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。
次に点iにおけるモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。
(5)第1主応力が最大と最小となる点を選ぶ問題
第1主応力が最大となる点は点i、最小となる点は点kとなります。
理由を200字以内で記すと
「
コイルばねの断面には曲げ応力とねじりによるせん断応力が生じる。せん断応力の大きさは素線からの距離に比例するが、4点はすべて外周上の点なため等しい。曲げ応力はζ方向の分布を持ち、点iにおいては正、点hおよび点jにおいては0、点kにおいては負の値となる。モールの応力円を考えるとσ1が最大となるのは正の曲げ応力とせん断応力が同時に生じる点i、最小となるのは負の曲げ応力とせん断応力が同時に生じる点kとなる。
」
的な?ぶっちゃけテキトーです。なんか書いとけ的なノリで書いてるので参考程度にお願いします。
最後に点jおよび点kにおける主応力を求めておきましょう。点jは言うまでもなく主応力の値は点hと一緒となります。
次に点kについて考えます。点kに微小な直方体の要素を考え、その直方体における応力成分を図示すると下図のようになります。
これより点kにおける応力成分は圧縮の曲げ応力が生じることに注意すると
ただし、ここでせん断応力は正の面では軸の負の方向、負の面では軸の正の方向を向いているため符号が負になることに注意してください。これ以外のA、B、Cの計算に用いる応力成分は0となるので係数A、B、Cはそれぞれ
と求まります。よって主応力σがみたす3次方程式は
となります。以上から3つの主応力は
と求まります。
(参考)点kにおけるモールの応力円
点kにおけるモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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