どうもSNです。今回の記事は三次元の主応力の求め方について書いていきたいと思います。東大院でも以下の2020年と2022年に第1主応力、第2主応力、第3主応力の3つの主応力を求める必要がある出題があったので知っておいた方がいいと思います。
準備(均一な応力場における応力成分)
重力や慣性力のような物体の質量に比例する力を物体力といいます。今回は物体力が存在しないつり合いのとれた均一な応力場を考えていきます。
まず、直交座標系xyz内に各辺の長さがdx、dy、dzの微小な長方形を考えます。この長方形の各面に生じる応力成分を図示すると下図のようになります。面の外向き法線ベクトルが軸の正の方向を向いているとき、その面を正の面と呼び、負の方向を向いているとき、その面を負の面と呼びます。下図では正の面の応力成分を実線、負の面の応力成分を一点鎖線で書いています。
正の面では軸の正の方向を向く応力を正、負の面では軸の負の方向を向く応力を負とします。
この図を見ればわかりますが、三次元の応力場では3つの垂直応力と6つのせん断応力が存在するとわかります。しかし、この中で独立な応力成分は6つのみとなります。その理由はモーメントのつり合いを考えるとわかります。
まず、z軸周りのモーメントのつり合いを考えてみましょう。下図のようにx-y平面を考えればz軸周りのモーメントのつり合いより
となります。
その他の軸に関しても同様にして
となります。このようにせん断応力には互いに等しいペアが存在します。このペアのせん断応力を共役せん断応力と呼びます。このように共役せん断応力が存在するため、独立な応力成分は6つとなります。
三次元における主応力の求め方
下図のように斜面HAEを考えます。斜面HAEの面積をdS、斜面HAEに生じる合応力pのx成分、y成分、z成分をそれぞれpx、py、pzとします。
⊿HOE、⊿HOA、⊿OAEの面積をそれぞれdSx、dSy、dSzとするとx軸方向における力のつり合いから
y軸方向の力のつり合いから
z軸方向の力のつり合いから
ここで斜面の単位法線ベクトルのx成分、y成分,z成分をl、m、nとすると
が成立するので式(Ⅳ)~式(Ⅵ)は
ここで斜面が主応力面のとき、主応力をσとすると
が成立するので式(Ⅶ)~式(Ⅸ)は
これをマトリックスで表すと
上式において、未知数がすべて0にならないl、m、nを求めるには係数の行列式が0でなくてはならないので
これより主応力がみたす3次方程式
が導出できました。ここで係数はそれぞれ
と求まります。この3次方程式の3つの解のうち最も大きいものを第1主応力σ1、2番目に大きいものを第2主応力σ2、最小のものを第3主応力σ3と呼びます。Aを第1不変量、Bを第2不変量、Cを第3不変量と呼びます。この3次方程式を解くことによって3つの主応力を求めることが出来ます。
ちなみに二次元の場合、主応力σがみたす条件は
となります。これから2次方程式
を得るので主応力はそれぞれ
となります。
以上で今回の記事は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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