今回は東大院機械工学専攻平成31年材料力学Iを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・熱力学第一法則
解答本文
気体の混合に関する問題です。いきなり微視的な視点とか言われてビックリするかもしれませんが解答に必要な定義や式はしっかり与えられているので落ち着いて処理しましょう。
(1)TA=TBのときのエントロピー増加量を求める問題
熱力学第一法則と理想気体の状態方程式から
これとエントロピーの定義
から
が得られるので状態1から状態2へ変化したときのエントロピー変化ΔSは
これを用いてエントロピー増加量ΔSを計算していきます。混合前の圧力をP、それぞれの気体の体積をVA、VBとすると気体の状態方程式より
それぞれの気体の混合前後の体積比はTA=TBなので
次に部屋は断熱壁に囲まれており、部屋内の気体は外部に対して仕事をしないので熱力学第一法則から混合前後で内部エネルギーは変化しません。よって
が成立します。これよりTは
TA=TBのときは
となります。以上より式(I)を用いてエントロピー増加量ΔSを計算すると
と式(1-1)と同じ値が得られます。
(2)TA≠TBのときのエントロピー増加量を求める問題
混合前の圧力をP、それぞれの気体の体積をVA、VBとすると気体の状態方程式より
それぞれの気体の混合前後の体積比はTA≠TBなので
となります。設問(1)と同様に部屋内の内部エネルギーは変化しないのでTは式(Ⅱ)となります。以上より式(I)を用いてエントロピー増加量ΔSを求めると
となります。
(3)設問(2)のΔSが正であることを示す問題
設問2の第1項および第2項の対数に注目するとその真数において
なので
がわかります。あとは第3項と第4項の和が0以上と示すことができれば設問(2)のΔSが正であることが示せます。ここでTは
と変形できます。ただし、αおよびβは
としています。α+β=1なので設問で与えられた不等式(1-2)を適用すると
が成立するので第3項と第4項の和において
となります。ここでこの不等式の右辺を変形すると
となります。以上より設問(2)のΔSは
をみたすことが示せました。
(4)微視的な視点から式(1-1)を導出する問題
微視的な視点でのエントロピーの定義を用いるとΔSは
これに式(1-3)を代入して整理すると
スターリングの近似を用いてこれを変形すると
となって式(1-1)と同じ値が得られます。
(5)微視的な視点から混合過程が不可逆であることを示す問題
ΔS>0が示されているので、W2>W1となって気体の混合によって気体分子がとり得る微視的状態の数は増えていることがわかります。これが外界から何の変化も加えることなく減って元に戻ることはないため混合過程は不可逆であるとわかります。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
人気ブログランキング |
にほんブログ村 |