意識他界系大学院生のクソブログ

院試が終わったので体験談だったり解説をゆったりと書いていこうかなと思っています。院試関係ない日記も書きます。

【院試解答】東大院機械工学専攻H25材料力学

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今回は東大院機械工学専攻平成25年材料力学を解説したいと思います。

ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。

問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。

 

 

問題を解くのに必要な知識

・モールの応力円

解答本文

材料力学の知識をフル活用する問題です。材料力学の試験問題というよりはかなり実際の機械設計に寄った出題なので戸惑うかもしれません。材料力学を実践でどう使うのかが垣間見えるため個人的には面白い問題だなあと感じます。

(1)片持ち梁のたわみを求める問題

図1-1を右に90°回転して座標軸を設定し、固定端をA、自由端をBとします。

この梁を座標値xの断面で切断して、断面より右側の部分でモーメントのつり合いを考えると曲げモーメントMxは

となります。

よってたわみνはカスチリアノの定理より

(2)棒が接合されているときの片持ち梁のたわみを求める問題

棒の軸方向の応力をσとすると、棒の軸力は下図のように作用します。この棒の軸力の鉛直方向成分は

なので自由端に作用する荷重の鉛直方向成分は下向きを正とすると

問(1)のPをこれに置き換えると片持ち梁の先端の変位νは

と求まります。

次に棒の変位を考えます。棒の接合部分のBは変位後B'に移動します。B’から変位前の棒に下した垂線の足をHとすると、変形が微小のときHBは棒の縮みλと等しくなります。λは

幾何的関係よりνは

となるのでこれを式(I)と連立するとσは

これを式(Ⅱ)に代入するとνは

と求まります。

(3)主せん断応力とそれが生じる面を答える問題

下図のように面の法線がx軸とθの角度をなす面を考え、この面に生じる垂直応力をσ'、せん断応力をτ'とします。

(a)の場合は下図のような応力状態となります。面DCでは

面ADでは

以上よりモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。これから主せん断応力は

となります。τ1はθ=135°、315°の面に生じ、τ2はθ=45°、225°の面に生じます。

(b)の場合は下図のような応力状態となります。面DCでは

面ADでは

以上よりモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。これから(b)の場合はモールの応力円は点となるのでθの値によらずせん断応力は0となります。

(c)の場合は下図のような応力状態となります。面DCでは

面ADでは

以上よりモールの応力円を描くと下図のようになります。ただし、せん断応力は反時計回りを正としています。これから主せん断応力は

となります。τ1はθ=135°、315°の面に生じ、τ2はθ=45°、225°の面に生じます。

(4)斜材の役割を論ずる問題

(a)の場合はガスタンクが上下に振動したとき、支柱は伸び縮みし、支柱に応力が生じます。斜材が存在すれば斜材でもこの応力を負担できるため、支柱に生じる応力を軽減することができます。

(b)の場合はガスタンクが水平に振動します。図1-4のガスタンクの正面に位置する斜材に注目すると、ガスタンクが右側に移動したときの様子は下図に示すようになり、手前の斜材は縮み、後ろの斜材は伸びます。

斜材がない場合は問(1)のように支柱のみで変位によって生じる荷重を負担するので支柱には曲げモーメントが働きます。斜材がある場合は荷重を支柱に生じる曲げモーメント、斜材の圧縮荷重、引張荷重で負担できるため、支柱の負担を軽減することができます。

(5)どちらの斜材を選択すべきか論ずる問題

斜材が接合されていない場合をまず考えます。斜材が図1-5のような配置の時、ガスタンクが右に移動した状況を考えると手前の斜材は伸び、後ろの斜材は圧縮されます。手前の斜材上の交差部分に長方形ABCDを考えると、応力状態は下図のように問(3)の(a)と同じになるため、この場合の主せん断応力は

となります。

 

ガスタンクが左に移動した状況を考えると手前の斜材は圧縮され、後ろの斜材は伸びます。この場合の応力状態は下図のようになり、モールの応力円は問(3)の(a)の場合のモールの応力円をτ'軸に関して反転させたものとなるので主せん断応力は

となります。よって接合しない場合の主せん断応力はいずれにしても

となるとわかります。

次に、斜材が接合されている場合を考えます。ガスタンクが移動した状況を考えると片方の斜材は伸び、もう一方の斜材は圧縮されます。x軸を軸線とする棒が伸びる場合に斜材の交差部分に長方形ABCDを考えると、応力状態は下図のように問(3)の(c)と同じになるため、この場合の主せん断応力は

となります。x軸を軸線とする棒が縮む場合を考えてもモールの応力円は問(3)の(c)と変わらないため、いずれにしても接合されている場合の主せん断応力は

であるとわかります。

以上から主せん断応力が大きいのは斜材が接合されている場合だとわかります。よって斜材が接合されている場合の方が破断しやすいため接合されていない方を選択すべきだと判断ができます。

以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。


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