今回は東大院機械工学専攻平成29年材料力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・薄肉円筒
・せん断応力とトルクの関係
・モールの応力円
解答本文
薄肉円筒を引っ張ったり、ねじったり、内圧かけたりと好き放題する問題です。最後のどのように破壊されるかを説明する問題以外は練習にはちょうどいいので一度は解いておきたい問題です。
(1)引張荷重によって破壊が生じる条件を求める問題
構造物の断面積Aはh≪r(問題文では言及がないですが薄肉円筒と記述があるためこれを用いています)なので
となります。よって構造物の断面に生じる軸方向の引張応力σFは
となります。構造物の破壊が生じる条件は
なので、求めたσFを代入すれば
となります。
(2)内圧がかかる場合の破壊が生じる条件を求める問題
z=lの断面で円筒を切断して、断面より下の部分で力のつり合いを考えます。
z方向の力のつり合いから
が成立するのでσzは
次に上に示した長さlの円筒をさらに底面の円の中心を通り、底面に垂直な断面で切断した下図の図形を考えます。
さらに下図のように微小部分dθを考えます。この微小部分に生じる内圧の周方向成分は
これをθ=0からθ=πまで積分したものと2hlσθがつりあうので
これからσθは
と求まります。
構造体に働く最大引張応力はσθなので破壊が生じる条件は
となります。
(3)ねじりモーメントによって破壊が生じる条件を求める問題
トルクTによって外周部に発生するせん断応力τ1は断面二次極モーメントをIpとするとh≪rなので
となります。構造物を手前から見たとき、構造物表面における応力状態は下図のようになります。
面34において
面41において
なのでモールの応力円を描くと下図のようになります。
ただし、せん断応力は半時計周りを正としています。これより最大引張応力σ1は
最大せん断応力τmaxは
これより破壊条件は
となります。
(4)構造物がどのように壊れるのかを説明する問題
問題設定から
なので構造物は問(2)では接着層が引張によって破損し、問(3)では接着層がせん断によって破損します。ではそれぞれの破壊の様子について詳しく考えていきましょう。
問(1)では求めた破壊条件より破壊が生じるときFは
をみたします。このとき、構造物には下図のように荷重と垂直なき裂を生じます。
このき裂が進展することによって下図のように構造物は破壊します。実際の破面はカップアンドコーン型であったりするので、ここまで綺麗ではないですがあくまで破壊の様子の説明なので図示は省略しています。
問(2)では求めた破壊条件より破壊が生じるとき内圧Pは
をみたします。このとき円周方向の応力成分により接着層に沿ってき裂が生じます。このき裂が内部に達して構造物が破損します。き裂が内部まで生じると中の流体がそこから噴出して内圧が下がるため、き裂の進展するための応力を下回りき裂の進展は停止します。
問(3)では求めた破壊条件より破壊が生じるときねじりモーメントTは
をみたします。このとき構造物は接着層のせん断によって破壊するので破壊は下図のようになります。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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