今回は東大院機械工学専攻平成24年熱力学の大問Iを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・フーリエの法則
・熱力学第1法則
・熱力学第2法則
・成績係数
解答本文
熱力学第1法則および熱力学第2法則の理解を問う問題です。理解を深めるためにも一度は解いておきたい問題だと思います。
(1)各状態のT-s線図に記入する問題
熱力学第2法則より熱が低温側から高温側に自然に移動することはないと言えます。この設問では室温>外気なので部屋から窓を通して外に熱が逃げてしまうため、室温をT1に保つためにはエアコンに仕事を加える必要があります。
窓からの放熱量qはフーリエの法則から
熱力学第1法則は加えた仕事をL、低温熱源からの吸熱量をQLとすると室温を一定に保つため、
となります。これとクラウジウスの不等式
からエアコンの仕事Lについての不等式
が得られます。室温を保つためにはqと等しい熱量をエアコンで供給して熱量の変化を0にする必要があるため、
となります。よってエアコンの最小仕事Lminは
と求まります。
(2)エアコンのCOPを求める問題
COPは
となります。
(3)エアコンの消費電力を求める問題
窓からの放熱量QH(エアコンが部屋に供給する熱量)は
COPが6なのでエアコンの消費電力Lは
と求まります。
(4)3つの暖房機器を比較する問題
天然ガスの化学的エネルギーをLとします。それぞれの暖房器具がこのエネルギーを消費して供給できる熱量はそれぞれ
となるため、効率よく部屋を暖房することができる順に並べると
エアコン>ガスストーブ>電気ストーブ
となります。よって消費量が少ないのはこの順番になります。
(補足)冷凍機およびヒートポンプサイクル
下図のように仕事を加えて低温熱源から高温熱源に熱を運ぶことができます。
これを冷却に使うのが冷凍機なので、仕事を加えたときにどれだけ熱を奪えたか(どれだけ冷却できるか)を重要視します。なのでこのCOPは
となります。
次に、暖房に使うものがヒートポンプサイクルなので仕事を加えたときにどれだけ熱を供給できるか(どれだけ暖房できるか)を重要視します。なのでこのCOPは
となります。今回の設問のエアコンは部屋を暖房するのが目的のため、ヒートポンプサイクルの式を用います。この辺はしっかり理解しておきましょう。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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