今回は東大院機械工学専攻2021年熱力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・熱エネルギーバランス
・フーリエの法則
・ニュートンの冷却法則
・ステファン・ボルツマンの法則
解答本文
いつも通り熱エネルギーのバランスを考える問題です。やることは単純ですが計算ミスには気をつけましょう。放射伝熱も小問で出ていますが計算するだけなので特に苦労はしないかな。
(1)円筒内の熱バランス式を考える問題
適当に円筒の長さをlとして、内径r、幅dr、長さlの検査体積(下図の赤の部分)を考えます。
検査体積に流入する熱量は
検査体積から流出する熱量は
定常状態より検査体積内の熱量の変化がなく、これらがバランスするので
(流出する熱量)=(流入する熱量)
が成立します。なので熱バランス式は
となります。
r=R2における境界条件は温度および熱流束から
となります。
(2)シェル内の温度分布及び表面温度を考える問題
式(Ⅱ)、(Ⅲ)の境界条件を適用して積分定数を求めるとそれぞれ
これと式(I)からTは
となります。これより
となるのでr=R2における境界条件である式(Ⅳ)を適用してTSを求めると
これを式(Ⅴ)に代入するとTは
となります。
(3)表面温度TSの値を計算する問題
式(Ⅵ)に与えられた値を代入すると
ln(8/7)≅0.13よりTSは
となります。この式からhが大きくなると
の部分は小さくなっていくため、単調減少のグラフとなることがわかります。よってグラフはAかBになります。もしくはh=0 [W/(m^2・K)]のときTS=37 [℃]であることからこの2つに絞ってもいいですね。
また、h=40 [W/(m^2・K)]のときの値を計算するとおよそ31.6 [℃]程度になるのでこれからBが正しいとわかります。
(4)センサーが8~14 μmの赤外線に感度を持つように設計されている理由を答える問題
波長が8-14 μmの赤外線は大気中での透過率が高く、物体から放射された後に大気中で吸収されず温度計に伝わる。よってこの波長に感度を持たせれば正確に測定を行うことができる。
(5)人体から室内への放射伝熱量を計算する問題
人体から室内への伝熱量Qはステファン・ボルツマンの法則より
となります。これに与えられた値を代入していくとQは
と求まります。
(6)体温と体表面温度の関係を記述する問題
体温は外界の影響を受けにくいが、体表面温度は外気温度の影響を強く受けるため、体温よりも低くなる。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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