↓の記事の解答です。
- (1)熱バランスを考える問題(流れが未発達の場合)
- (2)流れ場が発達している場合の熱バランスを考える問題
- (3)総伝熱量を求める問題
- (4)ヌセルト数を求める問題
- (5)円管流れの熱伝達率と比較する問題
(1)熱バランスを考える問題(流れが未発達の場合)
下図のようにすき間内に微小な検査体積dxdyを取ります。
ここで、検査体積内の左断面および下側の断面から熱量が流入し、右断面および上側の断面から熱量が流出するとします。流入分と流出分をすべて挙げると
・左断面からの流入分
x方向の熱伝導によって流入する熱量Qx
流体のx方向の流れによって流入する内部エネルギーUx
・下側断面からの流入分
y方向の熱伝導によって流入する熱量Qy
流体のy方向の流れによって流入する内部エネルギーUy
・右断面からの流出分
x方向の熱伝導によって流出する熱量Qx+dx
流体のx方向の流れによって流出する内部エネルギーUx+dx
・上側断面からの流出分
y方向の熱伝導によって流出する熱量Qy+dy
流体のy方向の流れによって流出する内部エネルギーUy+dy
左断面における空気の流速のx方向成分をu、y方向成分をv、温度をTとすると、dxおよびdyが微小なのでこれらは
となります。以上より検査体積の熱バランス式は
(検査体積から流出するエネルギー)=(検査体積に流入するエネルギー)
に式(1)~式(8)を代入して微小長さについて3次以上の項を無視すれば
となります。ここでさらに連続の式
より式(9)は
となります。
(2)流れ場が発達している場合の熱バランスを考える問題
まずはβの値を求めます。流路内に辺がdx、dyの微小な流体要素を考えます。
この流体要素について力のつり合いを考えると
なのでこれより
となります。ここで、ニュートンの粘性法則より
なのでこれを式(13)に代入すれば
ここで、境界条件は
なのでこれより積分定数は
式(16)よりuは
となるのでβは
となります。
次に、熱バランス式を簡略化することを考えます。速度分布から完全に発達した層流になっているとわかるので
となります。これよりy方向の流れによって運ばれる熱量は考慮する必要がなくなります。また、境界層暑さをδとすると式(11)の項のオーダーは
となります。ここで
なので
が成立します。これより
と近似することができるのでx方向の熱伝導は考える必要がなくなります。以上の結論と
に注意して熱バランス式を考えていきます。検査体積は(1)と同じdxdyで考えていきましょう。
流入するエネルギーおよび流出するエネルギーをすべて挙げると
・流入分
y方向の熱伝導によって流入する熱量Qy
流体のx方向の流れによって流入する内部エネルギーUx
・流出分
y方向の熱伝導によって流出する熱量Qy+dy
流体のx方向の流れによって流出する内部エネルギーUx+dx
となります。これらはそれぞれ
となります。以上より熱バランス式は
となります。
(3)総伝熱量を求める問題
式(17)に与えられた速度分布を代入し、その両辺を積分定数をC3、C4として順次積分していくと
となります。ただし、αは水の熱拡散率としました。ここで境界条件は
なので積分定数はそれぞれ
となります。よってTは
ここで、Umを流路断面内の平均速度とすると混合平均温度の定義は
となるので、これに
と式(25)を代入すると
ここで
なので式(27)は
となります。これを積分定数をC5として解くとTmは
流路入口での温度がT0なので積分定数C5は
となります。これよりTmは
これをxで微分すれば
なのでこれを式(25)に代入するとTは
これをyで微分すれば
壁面での熱流束qは
伝熱量Qはこれを流路全体にわたって積分して2倍すれば
と求まります。
(別解)伝熱量Qの求め方
下図のように流路全体について熱エネルギーのバランスを考えます。
流路入口から流路に流入する内部エネルギーをUx=0とすると
流路出口における混合平均温度をT1とすると流路出口から流出する内部エネルギーを
Ux=LとするとUx=Lは
流路全体での熱バランスを考えると総伝熱量Qは
ここで式(30)よりT1は
なのでQは
となって式(35)と同じ結果が得られます。
(4)ヌセルト数を求める問題
壁面での熱流束qは熱伝達率hを用いると
これと式(34)が等しいとおいてhを求めると
となります。式(37)よりhは位置によらず一定であるとわかります。さらに、これよりHを代表長さとしたヌセルト数を有効数字3桁で求めると
となります。
(5)円管流れの熱伝達率と比較する問題
円管内に長さdx、内側の半径r、幅drの円環状の検査体積を考えます。完全に発達した流れなので管軸に平行な速度成分のみを考えればよいことと、粘性散逸およびx方向の熱伝導が無視できることより検査体積への熱の出入りは下図のようになります。
左断面から流入する内部エネルギーをUx、右断面から流出する内部エネルギーをUx+dx、内側の側面から熱伝導によって流入する熱量をQr、上側の断面から熱伝導によって流入する熱量をQr+drとします。左断面における流体の流速をu(r)、断面における混合平均温度をTmとすると、dxおよびdrが微小であるから発達した流れのとき検査体積から流入するエネルギーおよび流出するエネルギーは
・流入分
・流出分
となるので以上より熱バランス式は
となります。ここで円管内の流速分布u(r)はγを定数とすると
と表せます。これを式(42)に代入すると
式(43)の両辺を積分定数をC6、C7として順次積分していくと
となります。ここでr=0のときTは有限の値を取るので
と求まります。なのでTは
ここで、Umを流路断面内の平均速度、Aを円管の断面積とすると混合平均温度の定義は
となるので、これに
と式(46)を代入すると
ここで
なので式(48)は
これを積分定数をC8として解くとTmは
流路入口での温度がT0なので積分定数C8は
これよりTmは
これをxで微分すると
なのでTは
となり、これより
となるので円管壁面での熱流束qは
また、qは熱伝達率h'を用いて
と表せます。これらが等しいとして熱伝達率h'を求めると
これと式(37)より
なのでこれらの大小は
となります。ちなみにこのときのヌセルト数は有効数字3桁で求めると
以上で解答は終わりです。ヌセルト数が定数になるというのはなんだか意外な感じがしますね。
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