意識他界系大学院生のクソブログ

院試が終わったので体験談だったり解説をゆったりと書いていこうかなと思っています。院試関係ない日記も書きます。

【院試解答】東大院機械工学専攻H20流体力学

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今回は東大院機械工学専攻平成20年流体力学を解説したいと思います。

ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。

問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。

 

 

問題を解くのに必要な知識

・クエット流れ

ナビエ・ストークス方程式

ニュートンの粘性法則

・粘性散逸

 

解答本文

クエット流れとは平行な平板間を流体で満たし,片方の平板だけに速度を与えて平行に動かしたときの流れで、圧力勾配がなく速度分布は直線的になります。また、このときのせん断応力は一定値をとります。

問題に関してですが(7)は知らないと厳しいし、(9)はちょっと発想力が必要となって難しいかもしれませんが、それ以外の設問は答えられるようにしたいところです。

(1)速度Vが場所によらずV=0であることを示す問題

クエット流れなのでx方向の速度勾配は存在しません。なので

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これと連続の式

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より

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となります。以上よりVは場所によらず一定となります。これとy=HでV=0をあわせて考えればVは場所によらず0となります。

 

(2)支配方程式と境界条件を書く問題

クエット流れであることからx方向の圧力勾配は存在しません。これと(1)よりx方向のナビエ・ストークス方程式

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となります。境界条件は下の板が静止していることから

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上の板が速度U0で移動していることから

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(3)速度分布およびせん断応力分布を求める問題

積分定数をC1、C2として式(I)の両辺を積分していくと

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これに(2)の境界条件を適用して積分定数を求めると、それぞれ

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となるので速度勾配および速度は

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となります。また、ニュートンの粘性法則よりせん断応力分布は

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これらを図示すると下図のようになります。

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(4)上板を動かすための仕事率を求める問題

上板には単位面積当たり

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の力がかかります。この板を速度U0で動かすために必要な単位面積当たりの仕事率Wは、これにU0をかけて

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となります。

 

(5)界面変形がないときの境界条件を書く問題

界面変形がないので界面(y=0)において次の境界条件が成立します。

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(6)速度分布およびせん断応力分布を求める問題

下の板は静止し、上の板は速度U0で動いているので定数をC3、C4とすればU1およびU2はそれぞれ

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と表せます。これに(5)の境界条件を適用して定数を求めると

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なので速度分布は

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これをyで微分すると

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なので、ニュートンの粘性法則よりせん断応力分布τ(y)は

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これらを図示すれば下図のようになります。

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(7)粘性散逸により発生する熱量を求める問題

流体中に下図のような奥行きが単位長さの流体要素を考えます。

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この流体要素の粘性による発生する熱量は粘性力による仕事W'に等しくなります。流体要素の上面の下面に対する相対的な移動距離lは

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となります。W'はこれと粘性力

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の積になるので

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となります。熱量の比はW'の比と一致するので、流体1、流体2中で発生する熱量をそれぞれq1、q2とするとこの比は

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となります。

 

(8)流体がどのような連続体とみなせるか答える問題

この流体は

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のとき速度勾配がないことから固体とみなせます。

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のときニュートンの粘性法則が成立しているのでニュートン流体とみなせます。

 

(9)速度分布をU0の値で場合分けして答える問題

(6)より流体内の速度分布およびせん断応力はμ2をμ3に置き換えて

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流体3はτの値によって流体の振る舞いが変わるのでτの値で場合分けをして考えていきます。

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のとき流体3は速度勾配がない状態となります。これは図2-2における直線の傾きが無限大、つまりμ3→∞の極限状態とみなせるので式(II)においてμ3→∞とするとU(y)は

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これを図示すると下図のようになります。このときの流体3は(8)より固体とみなせるので平板と一体となって速度U0で運動するというわけですね。

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次に、

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のとき速度分布は式(II)そのままとなるので

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μ3>μ1に注意してこれを図示すれば下図のようになります。

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以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。

 


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