今回は東大院機械工学専攻平成20年熱力学を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・断熱変化
・比エンタルピー
・熱エネルギーバランス
・ヌセルト数
・エネルギー保存則
解答本文
エネルギーバランスやらなにやらてんこ盛りの問題です。
(1)圧縮機出口の温度を求める問題
吸気口での圧力をp1、圧縮機出口での圧力をp2とすると断熱圧縮なので圧力比φは
となります。断熱変化より
が成立します。これよりT2は
(2)比エンタルピーの増加量を求める問題
比エンタルピーの増加量Δhは
(3)熱バランス式を考える問題
壁面から気体への熱移動は熱伝達のみなのでdQは
となります。検査体積の左断面から流入するエンタルピーをHx、右断面から流出するエンタルピーをHx+dxとすると熱バランス式は
となります。ここで
なので検査体積の熱バランス式は
(4)高音部出口の温度を求める問題
式(III)を変形して
ここでのときx=0のときT=T2なのでC1は
となります。よってTは
と求まります。T3はx=Lを代入すれば
(5)熱伝達率を求める問題
気体の動粘性係数と温度伝導率が等しいのでプラントル数Prは1となります。これと
よりヌセルト数Nudは
となります。これと
から熱伝達率hは
となります。
(6)比エンタルピー増加量を求める問題
比エンタルピー増加量Δh'は式(V)より
となります。これと式(VI)より
(7)ノズル出口での気体温度を求める問題
この過程は断熱過程なので
が成立します。これよりT4は
(8)排気口での気体温度を求める問題
気体の運動エネルギーが無視できるので、ノズル入口および排気口での比エンタルピーをそれぞれh3、h5とすればエネルギー保存則より
となるのでT5は
(9)風車を設置したときの排気口の温度を求める問題
ノズルから噴出する気体の運動エネルギーをKとすると、ノズル入口と排気口におけるエネルギー保存則はノズル入口および排気口での比エンタルピーをそれぞれh3、h5*とすれば
となります。次にノズル出口における比エンタルピーをh4とするとノズル入口とノズル出口でのエネルギー保存則は
となります。これよりKは式(VI)を用いれば
これを式(VII)に代入すればT5*は
(10)正味の出力が取り出せる時ηの下限値を求める問題
取り出せた動力は
この値が圧縮機のする仕事よりも大きくなれば正味の出力を取り出すことができます。圧縮機のする仕事をWとすると圧縮機は断熱されているので
となります。よって正味の出力が取り出せる時
が成立するので
となります。ここで式(V)と式(VI)よりT3は
なので
以上で今回の記事はおしまいです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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