意識他界系大学院生のクソブログ

院試が終わったので体験談だったり解説をゆったりと書いていこうかなと思っています。院試関係ない日記も書きます。

【院試解答】東大院機械工学専攻H27流体力学I

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今回は東大院機械工学専攻平成27年流体力学Iを解説したいと思います。

ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。

問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。

 

 

問題を解くのに必要な知識

・質量保存則

・運動量の法則

ニュートンの粘性法則

 

解答本文

(4)くらいまでは教科書レベルの問題で比較的楽だと思います。ここまでしっかり解ければ合格は余裕だと思うのでしっかり演習して解けるようにしておきましょう。

(5)以降はかなり難しく、僕も自信がないですが一応自分なりの解答を記しておくので参考にしてください。

 

(1)面ADから流入する質量流量を求める問題

面ABから流入する質量流量m1は

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面CDから流出する質量流量m2はdxが微小なので

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面BCから流出する質量流量m3は

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質量保存則より

(検査体積から流出する質量流量)=(検査体積に流入する質量流量)

となるので

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よってADから流入する質量流量は

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(2)θの流れ方向への変化を記述する微分方程式を求める問題

(1)より面ADから流入する質量流量は

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平板上でu=0よりm3が流出させるx方向の運動量は0となります。ADから流出する質量流量はUの速度をもって流入するから持ち込む運動量Mは

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面ABから流入する運動量M1 、面CDから流出する運動量M2はΔxが微小なので

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となります。 以上よりx方向の運動量の法則は圧力勾配がないことに注意すると

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これよりτ0は

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式(I)がθの流れ方向への変化を記述する微分方程式です。

 

(別解)微分方程式を別のアプローチで求める

ナビエ・ストークス方程式と連続の式から式(I)を導出してみます。境界層内の連続の式およびx方向のナビエ・ストークス方程式は圧力勾配が無視できることと定常であることからそれぞれ

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となります。式(II)からvは積分定数をC1とすれば

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ここでy=0でv=-v0なので

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よってvは

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と求まります。次に式(III)をy=0からy=δ まで積分します。

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式(V)の右辺は

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左辺は式(IV)を用いると

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ここで式(VII)の右辺第3項は部分積分より

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となるので式(VII)は

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これと式(VI)を式(V)に代入して整理すれば

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となって式(I)と同じ式が得られます。

 

(3)境界層の厚さの流れ方向への変化を記述する微分方程式を求める問題

与えられた速度分布のとき運動量厚さθを計算すると

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となる。これを式(I)に代入すれば

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となります。これが境界層の厚さの流れ方向への変化を記述する微分方程式です。

 

(4)吸い込みなしの境界層厚さを求める問題

ニュートンの粘性法則から

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となります。これと与えられた速度分布よりτ0は

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となるので式(VIII)は

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吸い込みがないときは式(IX)において

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として

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積分定数をC2としてこの両辺を積分すると

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x=0のときδ=0なのでC2は

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これよりδは

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(5)吸い込みなしとありの境界層を比較する問題

式(IX)は非線形1階微分方程式となっていて明らかに初等的な関数で表せる解を持ちません。なので方程式を解くのではなくあくまで定性的に答えます。壁面からの吸い込みによって平板付近の流速の遅い流体が吸い込まれていくので速度分布は吸い込みがない場合に比べてより安定(速度勾配が急な領域が減少する)になります。よって吸い込みありの場合の境界層は吸い込みがない場合の境界層よりも薄くなります。どちらの場合もx=0のときδ=0であることに注意してこれを図示すると下図のようになります。

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(6)十分下流における境界層厚さとせん断応力を求める問題

もしも境界層が無限に成長しδ→∞となる場合式(IX)より

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となります。このときρv0Uは正なので

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となることになります。しかし、境界層は下流にいくにつれて発達するはずなのでこれは成り立ちません。よってδは発散せず下流のどこかで一定値に収束します。このとき

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が成立するので式(IX)よりこのときの境界層の厚さは

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となります。次に壁面せん断応力は

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となります。

 

以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。

 


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