今回は東大院機械工学専攻平成21年流体力学を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・運動量厚さ
・質量保存則
・運動量の法則
・ニュートンの粘性法則
・プラントル数
解答本文
流体と伝熱との融合というかなり珍しい出題の仕方になっている問題です。ゴリゴリ計算するのがメインですが、量が多いのでなかなかヘビーな問題となっています。無次元数などの知識も要求されますが伝熱の対策をしっかりしておけば問題はないかな。無次元数は重要なので意味も含めてしっかりおさえておきましょう。
(1)運動量厚さの物理的意味を答える問題
粘性により欠損する運動量を主流速度の運動量に換算し、それを厚みで表したものがδ2です。詳しくは流体の参考書を読んだほうが早いと思うのでそちらに譲ります。
(2)壁面摩擦応力と運動量厚さの関係式を導出する問題
境界層内に下図のような検査体積ABCDをとります。ただし、紙面垂直方向については単位幅あたりで考えるものとし、dxは十分小さいものとします。
面ABから流入する質量流量m1は
面CDから流出する質量流量m2はdxが微小なので
ここで、質量保存則より面ADから流入する質量流量をm3とすると
が成立するのでm3は
となります。
次に運動量の出入りを考えます。ABから流入する運動量M1は
面CDから流出する運動量M2はdxが微小なので
となります。また、m3はx方向にU∞の速度成分をもって流出するのでm3によって持ち込まれる運動量M3は
となります。壁面は摩擦力τwdx(右向き)を受け、この反作用として流体は-τwdxを受けます。以上より主流方向の圧力勾配がないのでx方向の運動量の法則は
となります。これよりτwは
ここで、y≧δのときu=u∞なので(I)の右辺の積分区間のδを∞としても積分の値は変わりません。なのでδを∞に置き換えると式(I)は
となって関係式が導けます。
(3)運動量厚さを計算する問題
y≧δのときu=u∞なので0≦y≦δのみを考えればよいです。よってδ2は
(4)ニュートンの粘性法則から壁面摩擦応力を計算する問題
ニュートンの粘性法則より
ここで、与えられた速度分布から0≦y≦δにおいて
となるのでこれと式(IV)からτwは
(5)δ/xをRexで表す問題
式(II)に(III)と(V)を代入して整理すると
x=0のときδ=0よりC1=0なのでδは
よってδ/xは
となります。
(6)CfをRexの関数で表す問題
Cfは定義より
(7)プラントル数の大小と境界層の関係を答える問題
プラントル数は流体中の運動量と熱の拡散の度合いの比を表し、速度境界層および温度境界層の発達に関係する無次元数です。δ、δT、Prの間にはおよそ
の関係があります。よってPr<1のときδ<δT、Pr=1のときδ=δT、Pr>1のときδ>δTとなります。
これをわかりやすいように画像で示すと下図のようになります。ただし、赤線が温度境界層、青線が速度境界層となっています。
(8)局所ヌセルト数NuxをΘ、x、yの関数として表す問題
熱伝達率をhとします。y=0で熱流束が等しいことから
が成立します。これから
となるので局所ヌセルト数Nuxは
(9)局所ヌセルト数NuxをδおよびRex、Cfを用いて表す問題
Pr=1のときδ=δTとなります。よって0≦y≦δTにおいて
これと式(VIII)よりNuxは
となります。あとはこれを変形してCfとRexで表すだけです。式(IX)は式(VI)と式(VII)より変形すれば結局
となります。
(10)平板の配置について考える問題
おそらく平板の間隔を広くすればいいんじゃないかなと思います。平板間を流れる流量が増え温度境界層が薄くなるため、伝熱量が増えると考えています。
参考になるかもしれないので平板間の伝熱についての記事を貼っておきます。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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