意識他界系大学院生のクソブログ

院試が終わったので体験談だったり解説をゆったりと書いていこうかなと思っています。院試関係ない日記も書きます。

【院試解答】東大院機械工学専攻2020熱力学I

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今回は東大院機械工学専攻2020年熱力学Iを解説したいと思います。

ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。

問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。

 

 

問題を解くのに必要な知識

・断熱過程

・等圧過程

・工業仕事

解答本文

前半はブレイトンサイクルを逆にしたサイクルに関する問題です。(4)以降はあまり自信がありませんが、とりあえず出した答えを書いておきます。

(1)サイクルのp-V線図を描き各過程を記入する問題

気体吸入前の状態を状態1、気体吸入後の状態を状態2、圧縮後の状態を状態3、気体排出後の状態を状態4とします。

吸入過程においては吸入弁が開いており、圧力は弁とつながっている空間の圧力p1と等しくなり、この圧力を保ったままピストンは上死点まで動き、状態2に達します。

その後状態2から圧力がp2の状態3まで、断熱圧縮をします。

次に圧力がp2に達したため、排出弁が開き、圧力p2のままピストンは下死点まで動き状態4に達します。その後、圧力p1の状態1まで断熱膨張をします。以上よりp-V線図は下図のようになります。

(2)容積効率ηを求める問題

状態4から状態1は断熱変化なので状態1の体積をV1とすると

が成立します。なのでV1は

よって吸入容積は

行程容積は

なので容積効率ηは

となります。

(3)1サイクルの作動に要する仕事を求める問題

求める仕事Wはp-V線図上でサイクルに囲まれた部分の面積となります。

これは断熱圧縮の際に外部からされた工業仕事W1と断熱膨張において外部にする工業仕事W2の差となります。

W1およびW2は

以上からサイクルの作動に要する仕事Wは

となります。

(別解)仕事Wの求め方の別解

状態iの温度をTiとすると排出過程における放熱量QHは

吸入過程における吸熱量をQLとすると

サイクルにおいてWはこの差となるので

ここから変形していって答えを導いても良いです。

一応これが本当に本解のWと一致するかを確かめておきましょう。

 

状態4から状態1は断熱変化なので

状態2から状態3は断熱変化なので状態3の体積をV3とすると

これと理想気体の状態方程式

よりW1およびW2は

と変形できるので別解で求めた値と一致することが確かめられます。

(4)圧縮機HPC入口での温度を求める問題

圧縮機LPCで圧縮される前の状態を状態1、圧縮後の状態を状態1'、熱交換器での冷却後の状態を状態1''、圧縮機HPCで圧縮後の状態を状態2とします。

状態1から状態1'の変化は断熱圧縮、状態1'から状態1''の変化は等圧冷却、状態1''から状態2の変化は断熱圧縮なので、状態1から状態2までの変化の様子をp-v線図に図示すると下図のようになります。

気体の流入・流出があるので、工業仕事を考えることに注意すると圧縮機LPCの仕事は下図の橙色の部分、圧縮機HPCの仕事は赤色の部分に相当します。この合計が最小となるときTxはどうなるのかをp-v線図から考えてみます。Txが低下すると状態1''は等圧線上で左にシフトします。その結果、赤色の部分の圧縮機HPCの仕事は小さくなることがわかります。なので、圧縮機の仕事の和を最小化するためにはTxをできるだけ低くする方がいいとわかります。熱交換器は温度T1の熱浴なのでTxはこれよりも低い温度にすることは不可能です。よって仕事の和を最小化するとき、Txは下限値であるT1になればいいことがわかります。よって本問においてTxは

となります。

(5)pxおよびQを求める問題

状態1から状態1'の変化は断熱変化なので状態1'での温度をT'とすると

が成立します。なのでT'は

次に状態1''から状態2の変化は断熱変化なので状態2での温度をT2とすると

が成立するのでT2は

圧縮機LPC、HPCの仕事はそれぞれ

となります。なのでこの和Wは

これをpxで微分すると

Wが最小となるとき

これより

が成立するのでpxは

と求まります。熱交換器への放熱過程は等圧過程なのでQは

となります。


以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。

 


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