意識他界系大学院生のクソブログ

院試が終わったので体験談だったり解説をゆったりと書いていこうかなと思っています。院試関係ない日記も書きます。

【院試解答】東大院機械工学専攻2021熱力学I

スポンサーリンク

今回は東大院機械工学専攻2021年熱力学Iを解説したいと思います。

ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。

なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。

問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。

 

 

問題を解くのに必要な知識

・気体の絞り

理想気体の状態方程式

・熱力学第1法則

・等エントロピー変化

解答本文

容器内への気体の流入に関する問題です。気体の内部エネルギーおよび押し込み仕事を考慮してエネルギー保存の式を立てて解くのですが、演習経験がないと難しく感じるかもしれません。

(1)エントロピー増加をもたらした過程を挙げる問題

バルブによる気体の絞りとタンク内での気体の混合という2つの過程によって系のエントロピーが増加します。

どちらも代表的な不可逆過程です。絞りについては時間があるときにこの記事に追記するか、別の新しい記事を作成しようと思います。気長にお待ちください。

(2)流入した質量と最終状態の気体の温度を求める問題

下図のようにバルブの入口も含めた検査体積を設定します。

流入する気体の物理量に0、タンク内の気体の初期状態の物理量に1、タンク内の気体の最終状態の物理量に2の添字をつけることにすると開いた系の熱力学第1法則より

ここで

より熱力学第1法則は

となります。さらに理想気体の状態方程式から

が成立するのでこれを上の式に代入するとタンク内に流入した質量m0は

と求まります。これと

を式

に代入するとバルブを閉じた後のタンク内の気体の温度T2は

(別解)仮想的な容器を考える方法

下図のようにタンクの外に十分大きな仮想的な容器を考えるとします。この仮想的な容器からm0だけタンク内に気体が流入し、仮想的な容器内は最終的に質量m-m0、圧力p'、T'になると考えます。

 

変化前後のこの容器とタンク内(バルブ入り口も含め)の気体のエネルギーを考えると

次に理想気体の状態方程式から変化前後の仮想的な容器内の気体において

この2式から

また仮想的な容器内は十分に大きいため、容器内の気体は断熱変化をするとみなすことができます。よって変化前後において

が成立するので

これを式(2)に代入すれば

これを変形して変化前後における温度比は

これと式(1)からT2/T0は

仮想的な容器内は十分に大きいため、m→∞とすると

ここでm→∞なので

の項は0とみなせるため

よってT2は

ここで理想気体の状態方程式から

が成立するのでこれを上の式に代入するとタンク内に流入した質量m0は

となり、本解と同じm0が求まります。後は本解と同じようにT2を求めて終わりです。

(3)系で発生する熱量を求める問題

容器内の気体について初期状態と最終状態を考えます。

検査体積内の気体は外部に仕事をしないので、熱力学第1法則よりバルブを開いている間に系で発生した熱量Qはこの容器内の気体の内部エネルギーの差に等しくなるので

となります。

(4)等エントロピー変化の場合で流入した質量と最終状態の気体の温度を求める問題

問(1)から問(3)までと違ってバルブの通過時の変化が等エントロピー変化となります。この条件をみたすためには周囲と熱力学的平衡状態を保ったまま変化させる必要があります。

つまり、非常にゆっくりと気体を吸入するわけです。ゆっくり気体を吸入するとき、バルブ内の圧力と流入する気体の圧力はつり合いを保ちながら流入するので押し込み仕事は考慮する必要がありません。

よって問(2)と同様の検査体積を設定するとエネルギー保存式は

となります。ここで

を代入するとエネルギー保存式は

さらに理想気体の状態方程式から

が成立するのでこれを上の式に代入するとタンク内に流入した質量m0は

と求まります。これと

を式

に代入するとバルブを閉じた後のタンク内の気体の温度T2は

となります。

(別解)仮想的な容器を考える方法

問(2)の別解とほぼ同じです。下図のようにタンクの外に十分大きな仮想的な容器を考えるとします。この仮想的な容器からm0だけタンク内に気体が流入し、仮想的な容器内は最終的に質量m-m0、圧力p'、T'になると考えます。

 

変化前後のこの容器とタンク内(バルブ入り口も含め)の気体のエネルギーを考えると

これを変形するとT2/T0は

ここでゆっくり気体を吸入するとき、バルブ内の圧力と仮想的な容器内から流入する気体の圧力はつり合いを保つため仕事をしません。また断熱も保たれているので仮想容器内の気体は等温変化をします。これより

これを上のエネルギー保存式に代入するとT2は

ここで理想気体の状態方程式から

が成立するのでこれを上の式に代入するとタンク内に流入した質量m0は

となり、本解と同じm0が求まります。後は本解と同じようにT2を求めて終わりです。

 

以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。


人気ブログランキング
にほんブログ村 にほんブログ村へ
にほんブログ村