今回は東大院機械工学専攻平成22年材料力学を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・たわみの微分方程式
・座屈
・熱応力
解答本文
座屈に関する問題です。座屈荷重の導出は押さえておきましょう。公式は座屈に限らず導出も自分でできるようにしておいた方がいいです。
(1)断面に生じる曲げモーメントを求める問題
下図のように梁の左端から順にA、C、Bとします。そしてA点、B点における反力をそれぞれRA、RBとします。鉛直方向の力のつり合いから
点A周りのモーメントのつり合いより
これらより反力は
と求まります。
次に座標値xの断面で梁を切断して、断面に生じる曲げモーメントMを求めていきます。
0≦x≦l/2のとき断面より左側の部分でのモーメントのつり合いより
が成立するのでMは
l/2≦x≦lのとき、断面より右側でのモーメントのつり合いより
が成立するのでMは
以上より断面に生じる曲げモーメントMは
となります。
(2)梁の基礎式を求める問題
たわみの微分方程式
に問(1)の結果を代入すれば梁の基礎式は
と求まります。
(3)横たわみがある状態での梁の基礎式を求める問題
梁を座標値xの位置で切断して考えます。断面に生じる曲げモーメントをM(x)とすると断面より左側の部分におけるモーメントのつり合いより
が成立するのでM(x)は
となります。これを梁のたわみの微分方程式に代入すれば梁の基礎式は
と得られます。
(4)座屈荷重を求める問題
式(a)において
と置くと微分方程式
が得られます。この一般解は定数をC1、C2とすると
となります。境界条件x=0でw(x)=0より
x=lでw(x)=0より
ここでC2=0とするとw(x)=0となってしまい、たわみが発生しないことになってしまうので不適です。よって
なので、結局
が境界条件から得られる条件となります。よって座屈荷重が0の場合を除けばαは
をみたします。最小の座屈荷重が得られるときはn=1のときなのでPCは
と求まります。
(5)温度が上昇したときに発生する熱応力を求める問題
棒①、②、③に生じる応力をそれぞれσ1、σ2、σ3とします。
水平方向の力のつり合いから
なので
これより鉛直方向の力のつり合いは
となるのでσ1は
と表せます。ここで棒②および③は下図のように変形します。青線が変形後の棒の様子を表しています。
変形が微小の時、棒②、③の伸びλ2と鉛直方向変位δVには
の関係が成立します。さらに、変形が微小なのでθ'は
とみなせることを用いるとδVは
ここで棒1の伸びをλ1とすると
これと
からσ1、σ2、σ3は
と求まります。σ1は最初に圧縮方向を仮定してつり合いを立てたので圧縮応力です。
(6)棒①が座屈するときの温度上昇値を求める問題
問(4)から棒①が座屈するとき棒①に生じる応力σCは
となります。熱応力によって座屈するとき、σ1がこれと等しくなるので
が成立します。これよりΔTCは
(7)温度上昇による座屈が引き起こす重大事故の事例を答える問題
線路の変形が挙げられます。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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