今回は東大院機械工学専攻H15年の伝熱工学を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・フーリエの法則
・プラントル数
・ヌセルト数
・クヌッセン数
解答本文
熱エネルギーバランスについての問題です。毎年のように出題されているこの分野が結局何をやっているのかを理解するのに最適な問題なので目を通しておきたいところです。
(1)非定常熱伝導方程式の算出に関する問題
物体の内部に温度勾配が存在すると、高温の部分から低温の部分へ熱エネルギーが移動します。与えられた文字を用いるとΔt間の熱移動量Q1はフーリエの法則より
Δxが微小なのでQ2は
微小要素内でΔt間に発生する熱は
内部エネルギー変化は
これらをエネルギーバランスの式
に代入すると
となり、これは
を用いると
と書けます。
次に冷却時間のオーダーを見積もっていきます。微小要素内の発熱が0のとき式(Ⅰ)は
とできます。ここで左辺のオーダーは
右辺は
となるので、これと式(Ⅱ)より
が成立します。なので、冷却時間のオーダーは
と表され、ここに登場しているρC/λの逆数は熱拡散率(温度伝導率)と呼ばれる物性値です。
(2)無次元数に関する問題
無次元数の定義と物理的意味を問う問題です。
(a)プラントル数
プラントル数Prの定義式は、νを動粘度、αは熱拡散率とすると
と表される。プラントル数は流体中の運動量と熱の拡散の度合いの比を表し、速度境界層および温度境界層の発達に関係する無次元数である。
(b)ヌセルト数
ヌセルト数Nuの定義式は、hを熱伝導率、Lを代表長さ、λは熱伝導率とすると
で表される。熱伝導と熱伝達による伝熱量の比を表しており、大きいほど対流による熱輸送効果が高いことを表す無次元数である。
(c)クヌッセン数
クヌッセン数Knの定義式は、代表長さをL、平均自由行程をλとすると
と表される。流れが連続体とみなせるかどうかを表す無次元数であり、0.01以下なら連続体、0.01以上なら希薄気体として扱わなければならない。
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