今回は東北大院機械系4専攻の2014年材料力学の大問2を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
この問題を解くのに必要な知識
・知識としては曲げとねじりがわかってれば解けるはず
解答本文
この問題ですが曲げだけでなくねじりも考える必要があるためかなり難しいと思います。東大院にもH21年に全く同じ設定の出題ありです。難しい問題ですができるだけわかりやすく2つの解法を紹介するので参考にしてください。
(1)B点のたわみおよびC点のたわみを求める問題
(解法①)カスチリアノの定理を用いる
まずはカスチリアノの定理を用いる方法で解いていきたいと思います。問題設定としては下図のようなL字型の梁の点B、Cのたわみを求めよというものです。
この問題のめんどくさいところはB点に作用している荷重WによってAC間には曲げだけでなくねじりが発生しているところです。これはBCを右から眺めるとわかりやすいと思います。荷重WによってAC部分にはトルクT=WL2が発生してしまい、これによってねじりが発生するというわけですね。
さて、これを踏まえた上で解いていきましょう。まず、問題ではB点とC点のたわみも聞かれているので下図のようにC点に荷重Pを仮定します。また、断面を考えるときに都合がいいようにx軸とy軸も図のように設定しておきましょう。
座標軸の設定をしたところで断面に生じる曲げモーメントおよびねじりモーメントを求めていきましょう。そのためにこの梁をAC間(0≦x≦L1)とCB間(0≦y≦L2)で切断していきます。
まずはAC間(0≦x≦L1)で切断します。断面に生じるねじりモーメントをTx、曲げモーメントをMxとすると断面より右側の部分のモーメントのつり合いよりそれぞれ
となります。
次にCB間(0≦y≦L2)で切断します。断面に生じるねじりモーメントをTy、曲げモーメントをMyとすると断面より左側の部分のモーメントのつり合いよりそれぞれ
となります。
曲げモーメントとねじりモーメントが求まったのでカスチリアノの定理でたわみを求めていきます。カスチリアノの定理よりB点のたわみδBおよびC点のたわみδCは梁全体に蓄えられる弾性ひずみエネルギーをUとするとそれぞれ
ここでUはねじりモーメントによる弾性ひずみエネルギーと曲げモーメントによる弾性ひずみエネルギーの合計なのでTy=0を考慮すると
となるので式(5)と式(6)はそれぞれ
と変形できます(この変形についてはこの記事を参照)。ここで
より式(7)、式(8)は
となります。あとはこれを計算するだけですね。一応積分計算も省略しないで示しておくと
なので
最後に荷重Pは仮定したものなので式(9)と式(10)においてP=0とし、IとIPにそれぞれ
を代入してやれば求めるたわみδBおよびδCはそれぞれ
となります。
(解法②)変形を個別に考えていく
まず、この問題における梁の変形は下の3つの要素によって生じます。
(i)AC間の曲げ
(ii)AC間のねじれ
(iii)CB間の曲げ
このそれぞれの要素においてB点およびC点がどれだけたわむかを順番に考えていきましょう。
(i)AC間の曲げ
まず、AC間の曲げだけに注目しましょう。この曲げによる点Cのたわみをδ1とするとAC部分は下図のようにたわみます。
また、AC間の曲げだけに注目しているのでCB間は曲げが発生していません。なのでCB間は直線をたもったまま変位し、B点のたわみはC点のたわみに等しくなるのでCB間の変位の様子は下図のようになります。
(i)のみを考えた場合は両方ともたわみがδ1だとわかったところでδ1を求めましょう。
解法①と同様に断面の曲げモーメントを考えるとAC間の曲げに関与してくるのは荷重Wだけとなり、(i)の曲げの状態は長さL1の片持ち梁の先端に荷重Wが作用している時の曲げ状態と変わらないことがわかります。
なのでδ1は片持ち梁のたわみの公式(知らない人はこのページで証明も含めて確認しましょう)
より
となります。
(ii)AC間のねじれ
(i)の状況に加えてねじれが加わった時を考えます。荷重WによってAC部分に生じるトルクTはT=WLなのでこのトルクによる軸ACのねじれ角をΦとすると、公式
よりΦは
さて、Φだけ軸がねじれたときのB点およびC点のたわみを考えましょう。軸ACがねじれるだけなのでC点のたわみは変化しないことはすぐわかります。しかし、下図のようにB点は軸ACがねじれるとたわみδ2が発生します。
幾何的な関係からδ2は
となりますが、変形が微小、つまりΦが微小なのでsinΦは
と近似できます。なのでδ2は
となります。
(iii)CB間の曲げ
最後に(i)、(ii)に加えてCB間の曲げが発生したときのたわみを考えます。C点はこれによってたわみませんがB点はこの曲げによって下図のようにδ3だけたわみます。
このδ3を求めるには工夫が必要です。
まず、C点から上図のようにΦだけ傾いたy'軸を導入します(BCの軸線が(ii)のねじりで水平からΦだけ傾いているのでこのような工夫をする必要がある)。この軸を基準としたときのB点のたわみ量をδWとします。ここでCB間を座標値y'(0≦y'≦L2)の断面で切断し、曲げモーメントを考慮すると曲げに関与してくるのはB点に作用している荷重Wの梁に垂直な方向の成分WcosΦのみとなり、この曲げの状態は長さL2の片持ち梁の先端に荷重WcosΦが作用している時の曲げ状態と変わらないことがわかります。
なのでδWは片持ち梁のたわみの公式
より
となります。ここでδWはy'軸を基準としたたわみなのでyを基準としたたわみ量δ3は幾何的な関係から
となります。ここでΦが微小なので
と近似ができるため、δ3は
となります。
以上よりδBおよびδCは
となります。あとはIとIPに解法①と同様に
を代入すれば同じ結果が得られます。
解説なので長々と丁寧に書きましたが実際に答案に書く際はここまで丁寧にしなくても
「梁の変形は下の3つの要素によって生じる。
(i)AC間の曲げ
(ii)AC間のねじれ
(iii)CB間の曲げ
(i)によるB点およびC点の時のたわみは等しく、これをδ1とすると
(ii)の場合は軸ACがねじれるだけなのでC点のたわみは変化しない。軸ACのねじれ角は
このねじれによるB点のたわみδ2はΦが微小なので
(iii)の場合もC点のたわみは変化しない。B点のたわみδ3はΦが微小なので
これらを足し合わせて…
」
くらいにざっくり書いておけばいいと思います。Φが微小なのでとかいってわかってるアピしていきましょう。一応片持ち梁の公式もカスチリアノの定理使って計算したふりしておくと安全かな。
(2)点NのたわみをδB、δCで表す問題
(1)が本番でこの問題はおまけのようなもんです。2本の梁を結合したとき図のように2本の梁は反力Rを及ぼし合います。
梁MNのたわみについてまずは考えます。N点のたわみδNは片持ち梁の公式より一発で
と求まります。次にL字型のはりについて考えると、このときのB点のたわみδB'は(1)で求めた
においてWをW-Rと置き換えればいいので
となります。これらが等しいとおいて反力Rを求めれば
あとはこれを式(14)に代入すれば
が得られます。
以上で解説は終わりです。長くなりましたが最後まで読んでくれてありがとうございました。
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