今回は東大院機械工学専攻平成27年熱力学の大問IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・非定常熱伝導
・熱エネルギーバランス
・フーリエの法則
解答本文
さてこの問題ですが正直意味がわかりません!
おそらく結構難しい問題なのでわからなくても気にしなくていいと思います。
少なくとも僕は本番でこれ出たら捨て問にします。
難しい問題で合ってる気はしないですがさっそく解答を書いていきたいと思います。
(1)非定常の熱エネルギーバランスを考える問題
薄膜ヒーターの熱量の時間変化はヒーターの密度および比熱をそれぞれρ, cとすれば
となります。次にヒーターが円柱に放出する熱量は
となります。熱エネルギーバランスを考えると
(熱量の時間変化)=(熱移動による熱量の増加量)
が成立するのでヒーターの内部発熱Qと放出した熱量の差が薄膜ヒーターの熱量の時間変化と等しくなります。よって次の式が成立します。
ここで
とすると
なので、式(I)は
となります。θはC1を積分定数とすると
と求まるのでこれよりTは
です。ここで初期条件t=0のときT=T0を用いると積分定数C1は
と求まるので
と表せます。あとはこれを式(1)のようにaを含むような形に変形するだけですね。
よりeの指数部分は
となるので式(III)は
と表せて式(1)と一致します。
(2)熱伝導方程式と境界条件を求め、解を得る問題
下図のように円柱棒の断面積をA’、密度をρ’、比熱をc’とし、座標値xの位置に微小長さdxを考えます。ただし、左の断面から流入する熱流束をqxとします。
熱伝導方程式を求めるためにこの微小長さについて単位時間あたりのエネルギーバランスを考えていきます。まず、微小長さにおける熱量の時間変化は
となります。次に微小長さの単位時間における熱移動による熱量の増加は
となります。ここでフーリエの法則より円柱棒の熱伝導率をλ’とするとqxは
となるので
が成立します。エネルギーバランス式は
(熱量の時間変化)=(熱移動による熱量の増加)
となるので上の関係を利用すればTsがみたす熱伝導方程式
を導けます。これを簡単にして
とした方が綺麗ですね。ここで円柱棒と薄膜ヒーター間の熱通過率が無限大なことから接触面(x=0)の温度は薄膜ヒーターと同様に、初期温度Ts0、温度振幅ΔTs0、角周波数ωの正弦波状の周期的を変化します。よって1つめの境界条件は
x=0のとき
となります。次に問題で与えられている「円柱棒は十分に長く、薄膜ヒーターと接触していない端面は常に円柱棒の初期温度Tsとする」という条件から
という2つめの境界条件を示すことができます。
熱伝導方程式と境界条件を求めたので次は式(2)を使って未知数m、n、pを求めていきましょう。まず、1つめの境界条件よりmはすぐに求まりますね。式(2)の
に1つめの境界条件を適用すればmは
となりますね。次に2つめの境界条件より
なのでnは
を満たすとわかります。ここでTsは式(IV)を満たすので式(2)をこれに代入します。
なのでTsが式(IV)を満たすとき
が成立します。これらとn<0より
となるのでTsは
と求まります。
(3)熱拡散率を位相差および温度振幅の比で表す問題
式(V)において温度の時間変化を表す項は
です。この項の中で座標がxの点における温度の時間変化の位相差を表しているのは
の部分なので距離Δxだけ離れた2点における温度の時間変化の位相差は
で表されます。これを変形すれば熱拡散率は
となります。
次に式(V)において位置における温度振幅を表している部分はどこかを考えます。
の部分は温度の時間変化を表しており振幅は1なのでここは無視することができて、結局、座標xの位置における温度振幅を表すのは
の部分であるとわかります。よって2点における温度振幅の比は
となります。これを変形すれば熱拡散率は
と求まります。
(4)温度が正弦波状に変化するための条件を求める問題
わかりません。ごめんなさい。答えが気になるのでわかるかたいたらぜひ教えてもらいたいです。
以上で解説は終わりです。個人的にはかなり難しい問題だと思っているので最後まで解ける必要はないと思いますが、(2)の熱伝導方程式まではかなり重要で伝熱はこんなふうにエネルギーバランス考えていけば結構解ける問題があるのでよく練習しておくといいと思います。
人気ブログランキング |
にほんブログ村 |