今回は東大院機械工学専攻2020年熱力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・フーリエの法則
・ニュートンの冷却法則
・熱エネルギーバランス
解答本文
いつも通り熱エネルギーバランスを考える問題ですが計算がしんどいです。ミスのないように丁寧に計算していきましょう。こんなこと言っておいてミスしてたらすみませんw
(1)真空時の熱収支を考える問題
真空中に置かれているので熱伝達を考慮しなくていいです。まず、下図のように座標値xの位置に長さΔxの検査体積をとります。
単位時間あたりに検査体積の左側の断面から流入する熱量をqx、検査体積の右側の断面から流出する熱量をqx+Δxとするとエネルギーバランス式は
qxはフーリエの法則より
qx+ΔxはΔxが微小であることから
式(1)は
ここで
なので積分定数はそれぞれ
なのでT(x)は
(2)気体中に置かれている場合の熱収支を考える問題
問い(1)と同様の検査体積についてエネルギーバランスを考えます。細線が気体中に置かれているときは熱伝達を考慮する必要があるのでエネルギーバランス式は
(3)細線の電気抵抗率が温度依存する場合を考える問題
式(3)のρに
を代入すると熱伝導方程式は
これを整理すれば
が得られます。
(4)T(x)を求める問題
θを
として式(4)に代入すると
となります。ここで
とすると、基本解は任意定数をC3、C4とすれば
特殊解は
よって式(5)の方程式の一般解は
これよりT(x)は
ここで
なので積分定数はそれぞれ
と求まります。よってこれよりT(x)は
一応言っておきますが、
の符号がわからなくてもとりあえずこの解答のように正として解けばいいです。仮に負でも問(5)のようにオイラーの公式を用いて三角関数にできますからね。
(5)真空時の(R-R0)/R0を求める問題
真空中に置いた時を考えるのでh=0とすればいいです。問い(4)で求めたT(x)をh=0としたうえで
に代入してゴリゴリ計算すればいいです。ここではあえてh=0とせずに計算して最後にh=0としてみます。式(8)をそのまま式(9)に代入するとρは
となります。よってRは
ここで積分は
なので
これより
となります。ここでh=0とすると式(6)および式(7)よりα、θ1はそれぞれ
となります。ただし、ここでiは虚数単位、α1は
としています。これらより式(10)は
ここでオイラーの公式
を用いると
の分子、分母は
なのでこれより
と求まります。これに式(12)を用いると
となってλの関数で表すことができました。
(別解)問(5)の答えを違う方法で求める
別解というほどでもないですが、式(5)の方程式からh=0としたときのT(x)を求めて、それからRを求めてみます。h=0とすると式(5)は
このときの基本解は任意定数をC5、C6とすれば
ここで境界条件
を用いると任意定数はそれぞれ
また、特殊解は
なのでθは
これよりT(x)は
と求まります。これを式(9)に代入するとρは
よってRは
これより
となって式(13)と一致します。
ちなみに細線の電気抵抗率が温度に依存しないとき、つまりβ=0のときはR=R0なので
となりますね。式(13)が正しければβ→0としたときの値はこれに一致するはずです。一応これを確かめておきましょう。
式(12)から
なのでβ→0としたとき式(13)の右辺は
となって確かに一致します。大丈夫だと思いますが極限計算において数Ⅲでおなじみの
を用いました。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
人気ブログランキング |
にほんブログ村 |