今回は東大院機械工学専攻平成25年熱力学の大問Iを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・エネルギー保存式
・熱力学第1法則
・断熱(等エントロピー)過程
・エンタルピー
解答本文
(1)エネルギー保存則を用いる問題
エネルギー保存則より
が成立するので、これから単位質量当たりの気体の運動エネルギーの増加量ΔKは
となります。
(2)損失なしのエネルギー保存則を用いる問題
非圧縮性流体で損失がないため密度や内部エネルギーの変化は生じません。つまり
なのでエネルギー保存則は
となります。よって単位質量当たりの気体の運動エネルギーの増加量は
(3)運動エネルギーの増加を示す問題
ΔKはエンタルピー
を用いると
と表せます。式(IV)は
と変形できます。ここで、式(III)よりdhは
なのでこれと式(V)より
が成立します。式(a)を用いればこれは
と表せます。断熱膨張のとき圧力は低下するので(下のpv線図を参照)
dp<0となります。よって
これと式(VI)よりノズル内の膨張過程において気体の運動エネルギーは増加します。
(4)断熱過程における関係式を証明する問題
断熱変化であるから熱力学第1法則より
が成立します。ここで理想気体の状態方程式
の両辺を微分すると
なのでpdvは
これより式(VII)は
となります。ここでマイヤーの関係式と比熱比の定義より
となることと、式(VIII)より式(IX)は
と変形できます。この両辺をCを定数として積分すると
これより
となります。入口と出口の圧力と温度に対してこの関係式を用いると
これよりT2は
となって式(b)が示せました。
(5)内部エネルギーと運動エネルギーを計算する問題
内部エネルギーの減少量と運動エネルギーの増加量は以下のようになります。
(6)運動エネルギー増加量を比較する問題
押し込み仕事をWとするとこれらが等しいから
これを用いるとそれぞれの気体の運動エネルギーの増加量は
と表せます。両者の差をとると
ここで、T1>T2より
なので圧縮性流体の場合の方が運動エネルギーの増加量が大きいとわかります。
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