今回は東大院機械工学専攻平成29年の生産・加工を解説したいと思います。
正直生産・加工に関しては過去問もまともに解いてないし解説も一切するつもりはなかったんですが、読者の方から「生産・加工ってどんな感じで解答すればいいかわからないので参考程度に解答例を示してほしい」とメールが来たので一応自分なりの解答例を書いておこうかなと思います。ちなみに合っている自信はまったくないです。
生産・加工には
①加工法や材料の知識を問う問題
②機械要素設計の問題(ねじ等)
③その場で考える問題
という3種類の問題パターンがあります。このうちの①、②は比較的対策しやすいと思いますが、③は基本的に対策しようがないので難しいです。今回の問題はほとんどが③に該当するものでかなり難しいと思っています。一応自分なりに機械工学の知識を用いて考えた結果を記しておくので解答の参考にしてください。
解答本文
(1)ある振動数のときの張力を求める問題
1次モードの時の定常波の波長をλとすると
となります。これと
から
が成立するので張力Tは
ここでρ0は
なのでこれを式(1)に代入すれば
となります。あとは数値を代入して張力を有効数字2桁まで求めると
(2) 弦を巻き取る機構を考える問題
適当に円柱に巻きつけて巻き取る機構書いとけばいいんじゃないかな。巻いた角度をθ、弦と円柱間の摩擦係数をμとすると張力Tはe^(μθ)に比例するので巻く角度によって張力が調整できるため固有角振動数も調整できますし、摩擦力によって滑りがないので張力を維持することができます。適当で申し訳ないですがとりあえずこんな感じで思いついたことを書いときゃいいんじゃないかなあ…
(3)熱膨張量を考える問題
熱膨張は線膨張係数をα、温度変化をΔTとすると
で表されるので求める伸びΔLは
(4)温度変化時の振動数を求める問題
突起も片持ち梁も変形しないので弦は固定されます。よって弦の長さは変わらずに熱応力が発生することになります。伸びが発生しないことから
が成立します。これよりこのときの張力Tは
となります。ここで問(1)より振動数fは
なのでこれを式(2)に代入すれば
あとは数値を代入してこれを有効数字2桁で求めると
(5)梁の曲げ剛性をたわみ等を用いて表す問題
下図のように弦に張力Tが作用したときに片持ち梁に生じる曲げモーメントをMとするとモーメントのつり合いより
となります。
この曲げモーメントによって片持ち梁は下図のように一様な曲率半径Rの円弧に湾曲します。
このとき先端のたわみyは
ここで変形が微小なので
これを上式に代入するとyは
となります。ここで片持ち梁の曲げ剛性をEIとすれば
が成立するのでこれと上式を連立すれば曲げ剛性は
(6)ヤング率をたわみ等を用いて表す問題
問(5)よりEは
これに
を代入すれば
(7)AOとBCの長さの差を求める問題
幾何的な関係から
式(3)と
からこれは
と求まります。
(8)梁のたわみを抑える方法を考える問題
(5)より曲げ剛性を大きくすればたわみも小さくなるので片持梁の幅や厚みを大きくす
ればよいと思います。
(9)振動を電気信号に変換する方法を考える問題
圧電素子を楽器に貼り付ければよいと思います。圧電素子とは圧力を加えると電圧が発生する材料です。
(10)引抜き加工の知識が必要となる問題
長所
削る工程がないのでロスが極めて少なく、寸法の精度が高いです。
短所
引抜時に製品が曲がってしまうことや、引抜方向に線状の筋が発生してしまうことがあります。
(11)適切なダイスの材料を答える問題
おそらくSKD11かSKD61だと思います。
(12)残留応力を緩和する方法を考える問題
おそらく焼き鈍しを行うといいと思います。
とてつもなく雑な記事になりましたがこんな感じでできるだけ頑張って考えて解答しましょうとしか生産・加工に関しては言えないです。
ちなみに私はこの問題のデータをpdfで受け取りましたが(4)以降の問題には(8)、(11)、(12)以外の設問に?と書き込まれていて当日の受験生も苦しめられたんだろうなと伝わってきます。
生産・加工は他科目に使う時間も考慮して思いついたことを一応書く程度で取り組みましょう。できなくてもあまり気にしないという感じでいいと思います。
それでは以上で今回の記事は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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