今回は東大院機械工学専攻平成31年材料力学IIを解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・平面応力状態
・ひずみエネルギー
解答本文
一見難しそうな問題ですが(4)まではなんとかなると思います。平面応力におけるフックの法則
は覚えておきましょう。(5)はよくわかりませんが、とりあえず出した答えを書いておきます。
(1)状態1におけるひずみエネルギー密度を求める問題
平面応力条件より
が成立します。状態1においてσx=σ0、σy=0なので垂直ひずみは式(I)、(Ⅱ)より
薄膜は弾性体なので蓄えられるひずみエネルギーは1/2×最終的な荷重×最終的な変位で求められます。薄膜の寸法を下図のように設定すると
薄膜に蓄えられるひずみエネルギーu1・hLxLyは
よってu1は
と求まります。
(2)状態2におけるひずみエネルギー密度を求める問題
状態2におけるy方向の垂直ひずみをεy2とするとひずみが拘束されていることから
これと式(Ⅱ)から状態2においてσx=σ0なので
が得られます。よってσy2は
次に式(I)から代入すればεx2は
問(1)と同様にすれば薄膜に蓄えられるひずみエネルギーu2・hLxLyは
よってu2は
と求まります。
(3)状態3におけるひずみエネルギー密度を求める問題
式(I)および(Ⅱ)からε3は
と求まります。
問(1)と同様にすれば薄膜に蓄えられるひずみエネルギーu3・hLxLyは
よってu3は
と求まります。
(4)解放される薄膜のひずみエネルギー密度Δuを求める問題
式(I)および式(Ⅱ)より
が得られます。状態4においてσx=0、εy=ε3なのでx方向の垂直ひずみεx4は式(Ⅲ)より
これと式(Ⅳ)よりσy4は
と求まります。問(1)と同様にすれば薄膜に蓄えられるひずみエネルギーu4・hLxLyは
よってu4は
と求まります。以上よりΔuは
(5)剥離したときのひずみエネルギー解放量を求める問題
基板が剥離する前は薄膜がx方向およびy方向の引張り応力σ0によって基板に接着されていると考えます。
その状態から薄膜が図1-3のように剥離したとき、応力状態はどのように変化するかを考えましょう。
剥離はx方向にのみ進行していくため、y方向の様子は変わりません。よってy方向には剥離中も基板への接着を維持するための応力が生じており、y方向のひずみは基板へ接着されていたときのε3のまま拘束されています。
しかし、x方向は剥離が進行しており、ひずみの拘束もなくなっているため接着を維持するための応力は必要なくなっています。よって剥離したときはσx=0となっています。以上より薄膜が剥離した場合の応力状態は状態4と等しいとわかります。
よって薄膜が剥離したときに解放される薄膜のひずみエネルギー密度はΔuと等しくなります。ここで剥離した部分の体積は
なので剥離によって解放されたひずみエネルギーudは
エネルギー解放率はこれを剥離面積aLyで割れば
と求まります。
(参考)ひずみエネルギー密度について
ひずみエネルギー密度は
で求めても良いです。問(1)~(4)までで確かめてみればわかりますが全く同じ答えが得られます。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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