どうもSNです。過去問の解説が全然できていなくて申し訳ないです。
本当は東大院の流体H25,H27,H29の解説を書きたいと思っているんですがめんどさくて全然進捗がないですw
今回は過去問解説ができていないお詫びとして院試でも割と重要なハーゲン・ポアズイユ流れについて書いていこうかなと思います。
この記事のゴール
このブログでは最終的にハーゲン・ポアズイユの式
を導出し、円管内の層流における管摩擦係数λが
となることを示すところまで書こうと思っていますが、一度にやると長くなるので2回に分けて書こうと思っています。1回目である今回は流れの速度分布を求めるところまでやっていこうと思います。
院試での出題
ハ―ゲン・ポアズイユ流れ関連の問題は特に東大でよく出ている印象があり、先に挙げたH25,H29に加えH23にもそのままと言っても過言ではない形で出題されています。
それぞれの年度でどのようにハーゲン・ポアズイユ流れ関連の問題が出題されたかを示すと
H23・・・管摩擦係数の式を示す問題(次回の記事のゴール)
H25・・・運動量の法則を用いてせん断応力と圧力勾配の関係式を示す問題(後述する③のやり方そのまま)、速度分布を求める問題(今回の記事のゴール)、円管を流れる流量を求める問題(次回の記事の途中過程で出てきます)
H29・・・断面内の平均流速を求める問題(次回の記事の途中過程で出てきます)、円管内の層流における管摩擦係数を求める問題(次回の記事のゴール)
となります。見てもらうとわかるように今回の記事と次回の記事を見るだけで結構問題が解けることがわかると思います。特にH25の設問IIは(5)まであるのですが(3)までがハーゲン・ポアズイユ流れ関連の設問であり、残りの(4),(5)はハーゲン・ポアズイユの式を用いて解いていく問題なので実質この記事と次回の記事の内容が理解できていれば解けるといっても過言ではないです。
速度分布の導出
院試でハーゲン・ポアズイユ流れが重要であることを分かってもらったところでさっそく速度分布を求めるところまでやっていきましょう。
まず、問題設定ですが今回は断面積が一定でまっすぐな半径Rの円管内の流れについて考えます。この流れは層流であるとし、中心軸に対称で十分発達した定常状態にあるとします。また流体は非圧縮性のニュートン流体であるとします。この流れの速度分布uを求めることがこの記事のゴールです。
さて、このやり方ですが以下に示す3つのやり方があります。(もっとあるかもですが僕が思いつくのはこの3つです)
①力のつり合い式を立てる方法
②ナビエ・ストークス方程式を用いる方法
③運動量法則を用いる方法
どの方法でやっても答えは同じになるのでどの方法を用いるかは自由ですが僕は問題文などで解法の指定がない限りは①の方法をおすすめします。理由は四力精選などにもこの方法が載っていて僕自身が慣れているのというのもあり記述が個人的に楽に感じるからです。やっぱ楽なほうがミスもしにくいだろうしいいよね!って感じです。
ではそれぞれの解法について順にみていきましょう。
①力のつり合い式を立てる方法(おすすめ!)
まずは流れの中に下図のような半径r、長さdxの微小な円柱要素を考え、流れ方向に水平なx軸をとる。
この円柱要素には下図のように側面には流れ方向にせん断応力τが、左右の断面には圧力による力が働きます。
発達した流れなのでこれらの力はつり合います。よって、流れ方向を正とすると力のつり合い式は
となります。これよりせん応力τは
と表されます。ここでニュートンの粘性法則よりτは
となるから式(2)は
となります。圧力勾配は発達した流れでは一定なので上の式を積分するとuは
となります。ここで境界条件r=Rのときu=0を用いてCを求めるとuは結局
となります。
②ナビエ・ストークス方程式を用いる方法(解法の指定がない限りおすすめしません)
流れ方向にx軸をとる。x方向におけるナビエ・ストークス方程式は外力をFxとすると
となる。(基本的にこれを使う問題では与えられますので覚える必要はありません)ここで定常流より
x方向の発達した層流を考えているから
外力はないから
軸対象より旋回方向の成分はないので
である。以上より結局x方向のナビエ・ストークス方程式は不要な項を消去して両辺にrをかけると
となる。ここでpとuxはそれぞれxおよびrのみに依存するので∂をdとした。ここで
これを積分すると
となる。
境界条件r=0で速度勾配dux/dr=0、およびr=Rでux=0より積分定数を求めるとux、つまりuは
となる。
③運動量法則を用いる方法
①で考えた円柱要素をそのまま検査体積とし、流れ方向にx軸をとる。なお、この解法では①の円柱要素をそのまま検査体積として流用しているので、円柱要素に働く力およびその向きなどは①を参照してください。ここで、検査体積の左側の断面における速度分布をua、右側の断面における速度分布をubとします。そうすると検査体積の左側の断面から流入する運動量は
となり、検査体積の右側の断面から流出する運動量は
となります。(なぜ2πrdrが現れるのかというのは次回の記事の流量Qを求めるときに触れようと思うので今はこうなるのかーと流しておいてください)
これらより、x方向の運動量の法則は流れ方向を正とすると
となります。ここでは発達した流れを考えているのでua=ubとなって上式の右辺は0になりますので上の式は結局
となります。これは①で出てきた式(1)と同じなので以下①と同様に解けて結局
が得られます。
3通りの方法で速度分布を求めましたがいかがでしたでしょうか。次回はハーゲン・ポアズイユの式を導出し円管内の層流における管摩擦係数が64/Reとなることを示したいと思います。
ここまで見てくれた方は次回(管摩擦係数の式まで)もよろしくね!
人気ブログランキング |
にほんブログ村 |