今回は東大院機械工学専攻平成23年流体力学を解説したいと思います。
ガバガバなところがあったり間違っているかもしれませんが解答の参考にしてください。
なお問題をそのまま載せるのは権利の都合上まずいと思うので載せません。
問題が欲しいという方はコメントするかtoriatama321@gmail.comに連絡してください。
問題を解くのに必要な知識
・運動量の法則
・連続の式
・損失ありのベルヌーイの定理
・ムーディー線図
・ハーゲン・ポアズイユ流れ
解答本文
ムーディー線図が出てくる珍しい問題です。ベルヌーイの定理や連続の式、運動量の法則など大事な事項がてんこ盛りの問題となっています。
(1)出口1からの流量を求める問題
円管出口1での流速をu1とします。出口1での圧力は大気圧と見なせるので水面と出口1の間にベルヌーイの定理を適用すると
なのでu1は
となります。よってQ1は
(2)出口2を開けたときのQ1を求める問題
水面と出口1にベルヌーイの定理を適用すると
なのでu1は
となります。よってQ1は
となって(1)と変わらないことがわかります。
(3)フランジにかかる力の大きさと向きを求める問題
下図のように検査体積をとります。
フランジ部での流速をu3、ゲージ圧をp3とします。フランジが受ける力をF(右向き)とすると流体はその反作用として-Fの力を受けます。よって右向きを正とすると軸方向の運動量の法則は
となります。これよりFは
後はu2、u3、p3を求めればFを求めることができます。
出口2での圧力は大気圧と見なせるので、水面と出口2にベルヌーイの定理を適用すると
なのでu2は
となりu1と等しくなります。連続の式より
なのでu3は
次に、水面とフランジ部においてベルヌーイの定理を適用すると
が成立するのでp3は
これらを式(II)に代入すればFは
と求まります。よってFはフランジを引き離す向きに働き、大きさは
となります。
(4)管摩擦ありの場合の流量Q1を求める問題
連続の式から円管1の流速は任意断面で常に等しくなります。これをuとすると損失を考慮したベルヌーイの定理は水面と出口1において
となります。相対粗さを計算しておくと
ここでムーディー線図を用いるにはこれに加えてレイノルズ数Reを計算する必要があります。しかし、uの具体的な値は不明なのでレイノルズ数を計算することができません。なので、仮に損失なしの場合の流速
を採用してレイノルズ数を計算すると
となります。これとムーディー線図から管摩擦係数fを有効数字1桁で読み取ると
これを式(VI)に代入してこのときのuを求めると
これは大体6 m/sなのでこれを用いてレイノルズ数を再計算すると6.0×10^5となります。ここでムーディー線図の相対粗さ0.01の曲線を見てみるとレイノルズ数が1.0×10^5以上の領域では管摩擦係数が0.04で水平となっています。なので、損失によってuが損失なしの場合と比べて減少しても相対粗さが0.01のときにはfにそれほど影響がないということがわかります。なのでfは
でよく、このときの流量Q1は
となります。
(5)ゲートを開けたときの流量Q1を求める問題
円管O内の流速をU、出口1での流速をu1、出口2での流速をu2とします。水面と出口1、水面と出口2にそれぞれベルヌーイの定理を適用すると
がわかります。これと連続の式
よりUは
となります。水面と出口1の間の損失を考慮したベルヌーイの定理より
これと式(VII)よりu1は
となります。ここで出口2が開くと円管O内の流速は連続の式から(4)より大きくなることがわかりますが、相対粗さが0.01のときfはReが10^5以上の時0.04で水平となっていて影響がありません。なのでf=0.04を採用しました。このときの流量Q1は
(6)管摩擦係数f=64/Reを導出する問題
有名なハーゲン・ポアズイユ流れの管摩擦係数の導出です。当ブログでも記事を書いているのでそちらを参照してください。
(7)開閉によってQ1がどう変化するかを考える問題
円管1および円管2の長さをlとし、ゲートが閉じているときの出口1の流速をUcとすると水面と出口1におけるベルヌーイの定理は
ゲートが開いているときの出口1の流速をUoとすると水面と出口1におけるベルヌーイの定理は
これより
となるのでQ1は開閉によって変化しないことがわかります。
以上で解説は終わりです。最後まで読んでくれてありがとうございました。
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